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2008年度 活動報告

「アジアにおける統合的水管理(IWRM)とウォーター・セキュリティ」 2007~2008 年度

立命館大学 多様な国際連携スタートアップ
研究代表者: 仲上 健一
【概要】 立命館サステイナビリティ学研究センター(RCS)における研究課題の一つ、「統合的水管理(IWRM: Integrated Water Resource Management)とアジアのウォーター・セキュリティ」にかかわって、気候変動による影響面でアフリカと並んで脆弱性が最も高いバングラデシュを対象とし、現地研究者との共同により、気候変動の水資源環境への環響評価を行い、それら影響への適応策、ならびに脆弱性低減策を検討・提示する。 日本をはじめ先進国の援助や技術が必ずしも貧困解消に結びついていない同国で、水問題の現状をこれまでの開発援助の反省点として学び、現地のニーズに即した適応策を検討するうえで不可欠な現地研究機関との交流・共同を図る。
【関連業績】
[論文] ―――
NAKAGAMI Ken’ichi、“Integrated Water Resource Management and Adaptation to Climate Change Impacts
on Water Resources and Environment”,Bangladesh Water Security Workshop 2008,Water Security Project
(funded by Grant-in-Aid for Scientific Research B, Ministry of Education, Culture, Science and
Technology),Ritsumeikan Research Center for Sustainability Science (RCS),2008,11,30,Ritsumeikan
University,Kyoto,Japan

「バイオマス利活用に関する地球環境の診断手法及び環境効率評価手法の研究」 2007 年~2008 年

環境省 廃棄物処理等科学研究費
研究代表者: 仲上 健一
【概要】 地球温暖化防止が我が国の重要な政策課題となるとともに,持続的な発展が可能な循環型社会システムへの転換が模索されている。本研究は,このような低炭素社会構築に向けたバイオマス利活用に活用される内容を含む。本研究でシステム化したシナリオ評価手法は地域診断評価及びバイオマスタウン構想策定に大きな貢献をするものである。地域診断評価とは,現地調査および文献調査を通じて地域の物質フローをマクロ的に把握し,有機資源の地域内循環システム構築の政策判断や地域社会での合意形成を図る上での課題や条件を明らかにし, 環境効率の視点でシステム構築の可能性を判断するものである。具体的には,導入可能と判断される利活用シナリオをバイオマスタウン構想に発展させるプロセスでの課題を本研究で開発した評価システムにより明確化し,バイオマス利活用による環境影響・環境効率を評価することが可能となる。今や,中央省庁,地方公共団体,企業・団体,個人レベルで,低炭素社会構築に向けての取組みが行われている。バイオマスタウン構想が重視される中で,バイオマスタウンの拡大が政策目標とされ,本研究の成果である地域適合評価手法がその構想実現に大きな役割を果たすものと見込まれる。課題は,モデルの精度及び活用性の向上に関するものとして,農地へ堆肥やメタン発酵残渣を施用したときの土壌環境への影響精緻化,農林業の生産性及び炭素貯留効果の定量化,雇用への景況,環境教育,自治意識の醸成など地域の活性化に資する要因の定量化,バイオマス製品の需要量推定のモデル化,3次元(高低)の表現,GIS との連携,時間の要素の組み込みが挙げられる。評価手法の課題として個別項目で定量化している環境性や経済性の総合化の可能性検討,さらに海外,特に東南アジアでのモデルの適用可能性の検討が期待される。
【関連業績】
[論文] ―――
森本英嗣、土井和之、柚山義人、仲上健一、星野敏、「バイオマス総合利活用評価モデルの開発」農業農村工学会
誌,Vol77No.08,pp631-634,2009.08
土井和之、森本英嗣、柚山義人、仲上健一、「地域におけるバイオマス総合利活用シナリオの評価手法」、 環境技術. Vol.38,
No.3, pp.45-50,2009.03

「広域循環型経済社会に関する日中協働研究」 2006 年~2008 年度

住友財団環境研究助成
研究代表者: 佐和 隆光
【概要】 中国では、循環型経済よりも幅広い概念として和諧社会(調和のとれた社会)の構築(中国政府の国策のひとつ)という言葉が流行語の一つとなりつつある。急速な工業化の進展に伴い、内陸部と沿海部の経済格差、教育の格差、大気汚染と水質汚濁、北部の渇水等の気候変動、石油の輸入依存度の高まり等々の「不調和」を是正する必要性を、人々が共有するようになったといえる。調和型経済は、持続可能型経済とほぼ同義であると考えて差し支えあるまい。代表者・佐和と共同研究者・周は、2006 年 11 月、中国浙江大学において「調和型社会の構想と構築」と題する日中研究交流会を開催し、関連する中央官庁、地方自治体、企業、大学から参加者を募る予定である。循環型経済、より広くは調和型経済の形成に当たっては、技術システムと社会システムの相互補完的かつ有機的な融合が図られなければならない。日本から東アジア諸国への技術移転の推進策、国境を越えての拡大生産者責任の拡充、国境を越えての3R体系の構築、持続可能な交通システム、クリーン開発メカニズム(CDM)の活用など、先進国である日本の先行事例と途上国である中国の取り組みを理論的実践的側面から比較分析しながら、広域循環型経済社会の構築にむけた具体的な政策提言を行う。
【関連業績】
[著書] ―――
佐和隆光 『グリーン資本主義――グローバル「危機」克服の条件』、岩波書店、2009,208P
佐和隆光 『この国の未来へ――持続可能で「豊か」な社会』 筑摩書房、2007、205P

「将来の気候変動への適応に向けた社会システム設計に関する研究」 2006 年~2009 年度

立命館大学学内提案公募型研究推進プログラム
研究代表者: 佐和 隆光
【関連業績】 (研究活動報告 [研究成果] 2009 年度を参照)

「低炭素社会実現のための基盤技術開発と戦略的イノベーション」 2008 年~2012 年度

立命館大学 立命館グローバル・イノベーション研究機構研究プログラム
研究代表者: 周瑋生
【関連業績】 (研究活動報告 [研究成果] 2009 年度を参照)

「都市・農村の地域連携を基礎とした低炭素社会のエコデザイン」 2008 年~2010 年度

環境省 地球環境研究総合推進費
研究代表者: 周瑋生
【関連業績】 (研究活動報告 [研究成果] 2009 年度を参照)

「気候変動による水資源環境影響評価分析と統合的水管理」 2008 年~2011 年度

科学研究費補助金 基盤研究(B)
研究代表者: 仲上 健一
【関連業績】 (研究活動報告 [研究成果] 2009 年度を参照)

「低炭素社会における交通体系に関する研究」 2008 年~2009 年度

財団法人運輸政策研究機構 委託研究
研究代表者: 佐和 隆光
【関連業績】 (研究活動報告 [研究成果] 2009 年度を参照)

「『調和(和諧)社会総合モデル』構築に関する日中共同研究」 2008 年度

外務省 日中研究交流支援事業
研究代表者: 周瑋生
【概要】 中国では過去 30 年間の高度成長を実現した反面、貧富格差の拡大、地域間のアンバランス、環境問題の深刻化、CO2 排出の大幅な増加など「持続可能な社会」に深刻な影響を与える課題が顕在化してる。中国政府はこれらローカルとグローバルな諸課題を解決し、社会の安定と持続可能な発展を目的として、「成長モデル」から経済、環境、社会の調和がとれた「調和(和諧)モデル」への転換を基本国策として打ち出した。 一方で、日本政府は、改革開放支援から「和諧社会」実現のた めの協力に軸足を移していきたい」と述べるなど、調和社会の構築と実現に向けた取り組みは日中共同の課題として認識されている。 立命館サステナビリティ学研究センター(RCS)は、サステナビリティ学連携研究機構(IR3S)、浙江大学と湖州市三者の協力協定の推進役として、日中両国の産官学の連携と知的協力により経済・環境と社会の調和の取れた「調和社会総合モデル」構築に関する共同研究プロジェクトを推進しており、本事業における 2 回のシンポジウムを通じて、日本における過去の経済成長と環境保全を成し遂げてきた経験を生かしながら、パイロットモデル事業の策定、実施、評価を通じて、理論的、実証的アプローチから、中国における和諧社会モデルの構築に資する両国の専門家間の研究交流を行う。また、地域を主体とする特色ある持続可能な社会づくりを目指す日中の地方自治体(地方政府)を招いた市長フォーラムを行い、両国の地域間の交流
を深め、和諧社会の形成に資する国際互恵型協力関係を築き上げることを目指す。
【関連業績】
外務省 「平成 20 年度日中研究交流支援事業」 「『調和(和諧)社会総合モデル』構築に関する日中共同研究」報告書
目 次
[環境・廃棄物・汚水]
●医療廃棄物の物理成分及び特性の分析-湖州市における多種病院調査研究結果に基づいて
肖志偉、李暁東、陳彤、陸勝勇、厳建華
●廃棄物処理システムの構築 -システムの変遷と東京大学における実例の紹介-
鈴木良實
●汚水・汚泥の乾燥焼却処理技術の研究及び応用
陸勝勇、厳建華、王飛、王紹良、池湧、李暁東、倪明江、岑可法
●農村生活汚水の人工湿地処理効果に関する研究
羅安程、曹傑
[エネルギー]
●アジアの都市農村混在地域におけるバイオマス有効利用 -タイとフィリピンを中心に-
平松あい、原祐二、古谷崇、横張真
●太陽光発電の普及に向けた発電評価とレーティング法
峯元高志
●タケの CDM 化に向けた制度設計について
大西学
●北海道における地域の農畜林水産業を考慮したバイオマスエネルギー賦存量と自給ポテンシャル分析
佐藤寿樹、辻宣行、田中教幸、大崎満
●潮汐マイクロ発電実験システムの開発
酒井達雄、廉本寧、河合陽平
●湖州市分散型エネルギーの総合利用とシステム分析
周瑋生、仲上 健一、任洪波
[安心安全農業]
●農業生産システム開発に関する実証的研究計画
春名攻
●異なる品種の桑葉の葉緑素値とスペクトル特性の検出に関する研究
黄凌霞、金佩華、楼程富
●都市農村連携のエコデザイン
梅田 靖
●浙江省におけるレジャー観光農業開発の必要性と対応策
厳力蛟、蘇蛍雪、杜良平、鄭軍南
●浙江省におけるエコツーリズム開発の必要性とその条件・原則
厳力蛟、姚忠、方志発、瀋優芬、李曄、蘇蛍雪
●安全安心農業の開発 調和(和諧)社会の構築
楊建明
●Aspergillus awamori Y8 キシラン酵素の酵素学特性及び飼料においての応用
袁康培
●竹化学製品と人類の健康
張 英
[調和(和諧)社会とその構築に向けた日中協力]
●調和(和諧)社会構築への文化の役割についての一考察
佐和達児
●戦後日本発展史の中に見る『社会の調和』とは
佐和達児
第 1 回「調和(和諧)社会総合モデル構築に関する日中共同研究シンポジウム」 於)中国・湖州市
第 2 回「調和(和諧)社会総合モデル構築に関する日中共同研究シンポジウム」 於)京都・立命館大学
○特別講演/日中市長フォーラム
○日中専門家会議
○日中若手研究会